遠方に住むお友達から、よく『いろいろ落ち着いたら行きたいんだけど」と、名前が出るお店があります。
それがJR静岡駅からほど近くの『浮月楼(ふげつろう)』さん。
最近とくによく聞かれるなぁと思っていたら、どうやら放送中の大河ドラマ『青天を衝け』で、徳川慶喜公や渋沢栄一ゆかりの場所として紹介されているのだとか・・・。
今回全然見ていませんでした🙏
でも、『行きたい、行きたい』と言われると、せっかく近くにあるんだから・・・という気になってきます。
考えることは同じなようで、そんなタイミングで『浮月楼』さんの敷地内にある『レストラン浮殿』さんへのお誘いを受けました。
というわけで、久しぶりに『レストラン浮殿』さんにおでかけです。
目次
- 『浮月楼』と『浮殿』の違いって? ディナーデートにおすすめなのは懐石レストランの『浮殿』。
- 『浮殿』の夕食メニューは要予約。「季節のおすすめコース」を静岡の日本酒、磯自慢でいただきます。
- 適度なプライベート感と開放感。静岡市街の中心で庭園を眺めながら和食をいただく贅沢。
- 庭園を散策する時間も考えて、ちょっと早めのお出かけを心がけたいお店です。
- お食事利用やホテル利用をした人だけが見ることができる徳川慶喜公や渋沢栄一ゆかりのお屋敷跡。
- 敷地内には接待にも使える懐石料理の高級料亭『浮月楼』と、ホテル『ガーデンスクエア静岡』もあります。
- 慶喜公の書を見て、思いをめぐらす大人女子。『浮殿』はお祝いはもちろん、大切な人とお別れするときにも選ぶべき場所。
『浮月楼』と『浮殿』の違いって? ディナーデートにおすすめなのは懐石レストランの『浮殿』。
正確に言うと、今回のお誘いは「『浮月楼』と『浮殿』どっちがいいかな?」でした。
残念ながら、徳川慶喜公が実際に住んできた建物は、もう戦火でなくなってしまっています。
でも『浮月楼』さんと『浮殿』さんはどちらもその跡地に建っていて、そのどちらかで食事をすると、一般には公開されていないお庭を見たり、ゆかりの場所をみることができます。
『浮月楼』さんは結婚式とか結納とか、お祝い事などに使われる完全予約制の料亭。
全室個室でテレビドラマによく出てくる密談に使われるような雰囲気もあります。
『浮殿』さんはもう少しカジュアル。
ランチにはお弁当もあるし、カフェタイムもあるみたい。
予約していなくてもお席が空いていれば利用することができます。
実は今回、せっかくなら『浮月楼』さんもいいかなと少し迷いました。
でもちょっとかしこまった感じになっちゃうかもしれないと思い直し、お庭を感じながら食事を楽しむことができる『浮殿』さんをリクエストさせていただきました。
『浮殿』の夕食メニューは要予約。「季節のおすすめコース」を静岡の日本酒、磯自慢でいただきます。
『浮殿』さんにもひとつだけ個室がありますけど個室利用は4名から。
基本的にはホール配置されたテーブル席になります。
この日の夕食は、お店のディナータイムに合わせて17時からでした。
だいぶ早いスタートでしたけど、食事のはじまりとともに日が落ちて、窓越しに見えるお庭の風景も幻想的になっていきます。
写真は庭園から見た『浮殿』さん。
さすがは徳川慶喜公のお屋敷跡地。
これが静岡駅から徒歩3分の場所にあるかと思うと、とっても贅沢な空間ですよね。
お庭に面したテラスにカウンター席もあるので、そこから夜のお庭を眺めるのもいいなぁと思っていたんですけど、雨が降ることもあるのでディナータイムの予約はテーブル席だけのようです。
「お二人でしたらお庭側のお席をお取りできますよ」と、今回案内していただいたのは半個室のテーブル席。
最初から日本酒だと酔いすぎてしまいそうなので、前菜は白ワインでいただくことにしました。
ボトルでたのまないとワインの選択肢がないのは残念ですけど、たぶん2杯目は日本酒が飲みたくなるだろうなぁと予測してグラスワインをお願いします。
『浮殿』さんの夕食コースは2つ。
- 季節のおすすめコース 5,500円(税込)
- 季節のおすすめコース 7,700円(税込)
2名以上、2日前までの予約が必要なので、今回はあらかじめ7,700円のコースをオーダーしていただいていました。
まずは前菜。
わりとシンプル。
おひたしも煮物も、素材の風味がちゃんと生かされていて、とてもやわらかな味つけでした。
適度なプライベート感と開放感。静岡市街の中心で庭園を眺めながら和食をいただく贅沢。
前菜も終わり、お刺身がやってきました。
まぐろ、鯛、かんぱち、ヒラメ。
海がある県だから当たり前かもしれませんけど、いつも思うのは、静岡県ってお刺身のレベルが全体的に高い!
まぁ美味しいだろうなーと思って食べて、当然美味しいという満足感🥰
日本酒が飲みたくなってきました。
嬉しいことに、期間限定であの銘酒「磯自慢」一合を半額の料金でいただくことができるサービスがありました。
他にも地元の美味しいお酒が揃っていましたが、この日は迷うことなく磯自慢をいただきます。
日常から解き放たれるご褒美時間です。
切子のグラスがとってもかわいいですよね🤍
磯自慢はやっぱりフルーティで飲みやすい😍
そして大好きな茶碗蒸し。
ぶりの煮つけ。
天ぷら。
どれも美味しい!!
じゃん。
お肉が出てきました😳
静岡地鶏の「ふりそで」と呼ばれる部位だそうです。
プリプリで脂も甘い!
ただ、メインがシンプルな焼き鳥だったせいで、全体的にやや物足りなさを感じてしまったのが正直なところかも😅
もう少しわくわく感がほしかったような・・・。
でも。
これはこれで逆にアリだと思いました。
その辺のお話はまたのちほどで・・・。
庭園を散策する時間も考えて、ちょっと早めのお出かけを心がけたいお店です。
気持ちよく酔わせていただいたこともあって、ここまであっという間でした。
メインの後に茶蕎麦。このあたりは静岡ならでは。
デザートは抹茶プリンと栗羊羹。
栗羊羹といえば清水の追分羊かんも有名で、徳川慶喜公もご賞味されたとか。
追分羊かんさんの本店にも素敵なお庭があるようなので、またいつか見に行ってみたいと思います。
『浮殿』でディナーを楽しむなら、お庭を散策する時間も含めて、2時間~2時間半くらいの滞在時間をみておくといいと思います。
ディナーはラストオーダーが20時。
前に20時少し前に入ってしまった時に、かなり慌ただしくなってしまったこともありますので、早めの入店をおすすめします。
お食事利用やホテル利用をした人だけが見ることができる徳川慶喜公や渋沢栄一ゆかりのお屋敷跡。
今回食事をした『浮殿』さんは、静岡駅のすぐ近く。
道路を挟んですぐ隣には、静岡パルコがあるという街の中にあります。
こちらは併設しているホテルガーデンスクエア側の入り口。
奥のお庭がどんな風になっているのか気になるつくりです。
利用した人だけがこのお庭を見ることが許されるというのも、魅力のひとつです。
『浮月楼』さん、『レストラン浮殿』さん、『ホテルガーデンスクエア静岡』さんを利用した方のみが立ち入ることが許されている庭園がこちら。
慶喜公が住んでいた頃は、この池に船を浮かべて楽しんでいたのだとか。
昼間と夜でまったく異なる景色が見られます。
季節にもよりますけど、夕方から夜にかけて利用すればどちらも楽しむことができます。
池の中に浮かぶように見える茶室。
夜になるとさらに幻想的な姿を見せてくれます。
敷地内には接待にも使える懐石料理の高級料亭『浮月楼』と、ホテル『ガーデンスクエア静岡』もあります。
こちらは同じ敷地内の『浮月楼』さん。
結納とかのお祝いごとに昼間利用するイメージが強い『浮月楼』さんですけど、夜はこの雰囲気。
池の水面には『浮月楼』の料亭の灯りが写って一層きれいに見えます。
お屋敷の中で食事をするような感じがあって、秘密の話があるときは料亭を選ぶのもいいですね。
参考までに、『浮月楼』の懐石料理は税込11,000円~16,500円。
四季を感じさせてくれるような美しい懐石料理を楽しめます。
最初にも書きましたけどこちらは2日前までの完全予約制です。
そして、すぐ隣には浮月楼さんが経営されているホテル『ガーデンスクエア静岡』。
ホテルの宿泊客も庭園を見ることができます。
慶喜公の書を見て、思いをめぐらす大人女子。『浮殿』はお祝いはもちろん、大切な人とお別れするときにも選ぶべき場所。
ところで今回『浮殿』さんでご案内いただいたのは、コの字の壁に囲まれている半個室。
入り口側はオープンでお庭に面しています。
ほどよくプラインバシーは保たれつつ、完全個室よりも逃げ場のある雰囲気。
ちょっと重い話をするときにも理想的な空間です。
例えば・・・。
「そろそろ籍を入れたいと思っているんだけど・・・。ついてはうちの介護のローテーションについて話しておきたい」とか「仕事を辞めて、私のお父さんと一緒に米を作ってくれないかしら?」とか💁♀️
そして避けては通れない重めの話と言えば「私たちちょっと距離をおきませんか?』という種類の話。
それも大嫌いになって顔も見たくないとかっていうわけではなくて、それなりに情はあるけど、そろそろお別れしたほうがいいかなというとき。
例えば「転勤になったけど、ついてきてほしいっていうほどの段階でもないなぁ」とか「嫌いになったわけじゃないけど、価値観も違うし、先のことを考えるとそろそろ・・・」とか。
そういうときに、閉塞感のある場所だと、お互いの気持ちの濃度も必要以上に凝縮されてしまいます。
でも、片側がオープンでお庭が見えたり、常に人の気配を感じる場所でしたら、なんとなくお互い冷静になることができます。
かといって、いい大人が完全にオープンで安さが売りのチェーン居酒屋で別れ話を繰り出そうものなら、そこに他意はなくとも今まで過ごした時間まで安く扱かわれたような気持ちになって、落としどころがなくなるということになりかねません。
『浮殿』のお料理には「わーー。これ、なにが入っているのー??」という盛り上がりや「え!映える!」という驚きはありません。
ですから今まさに話の核心を突こうという時に「待って。写真撮る!」とか「なんか今日ってすごく楽しくない?」などと言ってジャマされることはありません。
でも、上質で美味しい。
『浮殿』さんの落ちついた空間と浮ついていないお料理は、大切な方に大切な話を受け入れてもらうのに、これ以上ないくらい理想的なのです。
浮月楼本館には慶喜公が書いた「萬事花下に酔うに如くは莫く 百年 渾て 夢中に狂するに似たり」という書があります。
「何事も花の下で酔うにこしたことはなく、人生はすべて夢の中に狂うのと似たようなものだ」という意味です。
この詩は詠人知らず。慶喜公が詠んだものではありません。
でも、30代という若さで、世の中の表舞台から去らなければいけなくなった慶喜公が、この書を書いたと思うと、なんだかいろいろ考えさせられます。
そんなことに想いをはせながら、「いろいろあったけど、まぁいい時間を過ごしたなぁ」と楽しいことだけを思い出していろんなことを受け入れていくのも悪くありません。